津波からの避難
仙台市荒浜の海岸でデート中に大地震に遭遇しました。あなたはどうしますか? 避難の途中で彼女(彼氏)が怪我をして歩けなくなりました。あなたはどうしますか? 津波からの避難について、最優先すべきなのは「高台に逃げる」ことです。 ほとんどの人が知識として知っています。 ところが、仙台市荒浜で周囲を見渡してみても、安全な高台はありません。 「どうすればいいの?」とパニックになる人も出てくるでしょう。 突然、怒鳴り始める人がいるかもしれません。 意味不明の行動をする人がいるかもしれません。 立ちすくんでしまって、何を話しかけても、反応がない人が出てくるかもしれません。 まずは、冷静になることが大切です。 そして、生き残ろうとする強い意志が必要だと思います。あきらめたらそこで終わりです。 体力だけではなく気力が大切です。 より具体的に考えると、「持久力」「判断力」「決断力」「行動力」が重要ですね。 長距離避難する場合は「持久力」が必要です。避難同行者が怪我などで歩けなくなった時に、背負って逃げる場面が生じるかもしれません。「火事場の馬鹿力」で頑張ったとしても、それは瞬発力なので長く続きません。体力を消費しないように、早く逃げなくてはなりません。 ボーイスカウトで教えられている「スカウトペース」を教えます。まずは40歩ジョギング速度で走ります。その後、呼吸を整えながら40歩は歩きます。そして再び40歩走ります。この繰り返しです。息切れしないようにするのがポイントで、時速8キロで移動が可能です。 冷静な「判断力」も大切です。複数の避難方法?場所が考えられる場合は、どこに逃げるのが生存率が高いかを考えましょう。危険な場所にいる場合は、少しでも安全な場所に移動することを考えましょう。いつまでも悩んでいると避難が遅れます。「決断力」も重要になってきます。大きな地震の直後、人々は情報収集しようとします。家にいる人はテレビをつけて確認しようとします。スマホでハザードマップを確認する方法もありますが、つながらないかもしれません。その間に避難時間がどんどんなくなっていきます。海岸付近の低地にいる時に最初にすべきことは、すぐに安全な場所に避難すること。つまりは「行動力」も重要なのです。情報収集は安全な場所に移動してからでいいのです。情報や知識は災害の前に蓄えておいて、すぐに行動を起こせるようにしておくのが理想です。 仙台市荒浜の砂浜を眺めていた時、大地震に見舞われたとします。すぐに高台に逃げようと思いますが、視界の範囲に高台はありません。海からは離れる必要があります。遠方の目標物(鉄塔、高層マンション)を定め、方向を間違うことのないように、スカウトペースで行動をはじめます。近くに川はなかったかな?川を遡上する津波も心配だなあと思いつつ、避難しながらスマホで地図検索をします。地元の人が近くにいた場合は、近くに川がないか聞いてみます。もし、避難方向に川があるとしたら、より安全な方向に変更することにします。避難の途中に鉄筋コンクリートで4階以上の建物があったら、そこに逃げ込むことも考えます。地元の人がいたら聞いてみます。小学校?中学校?高校はあるか?鉄筋コンクリートの建物か?何階建てか?ここから歩いて何分でいけるか?複数の人に聞いてみて情報をより正確なものとします。 同行者が怪我をして歩けなくなった場合、周囲に人がいたら、援助を求めます。断られたら別の人にも頼んでみます。ひとりで背負うより、二人で肩をかす方法、3~4人いれば交替もできます。なるべく、移動速度が遅くならないようにします。海の方を確認して、土埃のようなものがみえたり、物が壊れたりする音が聞こえてきたら、津波がついにやってきたと判断します。まだあきらめません。木造でもいいので、近所の住宅にお邪魔して、ベランダから屋根の上に上がれるようにするかもしれません。水に浮かぶものやロープなど役に立ちそうなものがあれば、使えるようにします。より生存率が高まる方法を絶えず考えて行動することにします。 東北地方には「津波てんでんこ」という言い伝えがあります。 津波の時は、家族のことは考えずに(迎えにいったりせずに)、 てんでんバラバラでいいので、安全な場所へ逃げよという意味です。 家族が心配で家に迎えに行って、そこで津波に襲われたら、一家全滅となってしまいます。 「津波てんでんこ」は地域全体の生存率を高めるねらいがあります。 避難の途中で大切な人(彼女?彼氏?家族)が動けなくなったらどうするか? 非常に難しい問題です。状況にもよりますし、決まった答えはありません。 今回の課題は、災害の現場に自分の身を置いてみて、 答えを考えるのが主たる目的でした。 |